活動紹介

2019年07月22日

『電機連合@見える化通信』Vol.99

~ 「米中貿易摩擦が激化」 ~ 中国とのビジネスリスクの共有・対応を

『電機連合@見える化通信』Vol.99

~ 「米中貿易摩擦が激化」 ~
中国とのビジネスリスクの共有・対応を

電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。

~ 「米中貿易摩擦が激化」 ~
中国とのビジネスリスクの共有・対応を

米中の貿易摩擦が激しさを増しています。
米国は昨年7月以降、3回にわたり中国から
の輸入品目に対して追加関税を発動し、中国
も報復関税措置をとるなど、まさに「米中新
冷戦」の様相を呈しています。
こうした貿易摩擦が長引けば、日本の製造業
へも大きな影響が及ぶと考えられ、迅速かつ
的確な対応が必要です。

【背景に安全保障上の脅威】
国が中国製品への追加関税を発動した背景に
は、安全保障上へ脅威があります。すでに2
000年頃から中国の通信機器メーカー・H
uaweiによる反米的国家への輸出規制違
反、ZTEによるスパイ行為やサイバー攻撃
のためのインフラ構築、といった疑いが強く
もたれていました。

また、中国政府は2017年6月にサイバー
セキュリティ法を施行し、個人情報及び重要
データの国内保存と国外移転規制を定めた他
昨年3月に決定された「軍民融合戦略要綱」
では軍民の高度先端技術の共有と相互移転を
促進することが明記されました。

こうした状況を受け、ペンス米副大統領が昨
年10月に行った対中国政策に関する重要演説
では、不適切な貿易慣行・関税・輸入枠、技
術の強制移転、知的財産権侵害など中国が自
由・公正な貿易とは相容れない行動をとって
いると強く非難しています。

【対中措置を強める米国】
米国は年間で約5000億ドル分を中国から
輸入していますが、第1弾と第2弾では合計
500億ドル分に25%の追加関税を、昨年
9月の第3弾では約2000億ドルの追加関
税を課しています。

また、昨年8月に成立した国防権限法201
9では、先端技術の輸出管理強化や技術流出
を防ぐための対米投資規制強化、特定中国企
業の政府調達の排除など、広範な技術管理の
強化策が盛り込まれました(図表)。

さらに、今年の5月にはトランプ米大統領が
米企業が安全保障上の脅威がある外国企業か
ら通信機器を調達することを禁止する大統領
令に署名しました。

同時に、Huaweiとその関連企業68社が
米商務省産業安全保障局が作成する「懸念先
リスト(Entity List)」(*)
に掲載され、米製ハイテク部品やソフトウェ
アの供給を事実上禁止する措置が発表されました。
*米国による経済制裁(汎用品輸出規制)に
は4つのステップがあり、Entity 
Listは第2ステップに当たる。

リストの詳細は
https://www.bis.doc.gov/index.php/documents/regulations-docs/2394-huawei-and-affiliates-entity-list-rule/fileを参照。

【中国とのビジネスリスクの共有・対応を】
今回の米中貿易摩擦は単なる貿易戦争ではな
く、経済体制や安全保障、イデオロギーを含
めた全面的な「米中新冷戦」の開始を告げる
ものと受け止められており、米中貿易摩擦の
長期化が予想されます。

日本の製造業もサプライチェーンの見直しや
製品開発への影響を把握し、今後、中国との
ビジネスに波及するリスクを労使で共有する
必要があります。

電機産業では、昨年末から生産調整や一時帰
休・休業などが実施されている企業もありま
す。労働組合としても、雇用全般の情勢に関
する認識を共有し、迅速かつ的確に対応して
いくことが重要です。

電機連合では、情報と認識の共有化、支援体
制の整備など従来以上に各組合と電機連合本
部・地協の連携強化が必要であるとの認識か
ら、6月に「緊急雇用対策本部」を設置しま
した。

今後、電機産業として具体的な対応にあたっ
ていきます。

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