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活動紹介

2013年09月06日

電機連合@見える化通信 Vol.30【ロボット大国・ニッポン!介護ロボット元年へ】

電機連合@見える化通信 Vol.30

電機連合の活動の中に「産業政策」の取り組みがあることを
知っていますか?

産業政策とは、電機産業や日本をより豊かに発展させるため
の取り組みです。私たちが働く電機産業に活気があり、企業
の業績がよくなければ、雇用の維持・拡大や賃金などの労働
条件の改善は厳しくなります。

そこで、働く者の立場から電機産業が直面しているさまざま
な課題を見つけ出し、その解決方法(法改正や制度策定など)
を考えて「産業政策(政策制度課題と私たちの見解)」とし
て取りまとめ、毎年、政党や省庁などと意見交換を行って、
政策実現を目指しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて見え
づらい、でも私たちの暮らしをより良くするために大切な産
業政策の見える化に向けて、その中身を少しずつご紹介して
いきます。           電機連合 産業政策部編

【ロボット大国・ニッポン!介護ロボット元年へ】

今後、日本の高齢者人口は急速に増加し、2025年には介護職
の数が現状の1.5倍以上必要となる見込みです。
しかし、介護の現場では、介護職の7割が腰痛を抱えるとい
った重労働などから離職率が高く、負担軽減が課題となって
います。

その解決策の1つとして期待されるのが、介護ロボットです。

「世界の最先端を走る日本の介護・福祉分野ロボットロボット!」
というと、工場で使用される「産業用ロボット」が有名です
が、介護・福祉分野でも日本の「サービスロボット」が世界
の最先端を走っています。
日本発アザラシ型ロボット「パロ」は、アニマルセラピー効
果によって認知症高齢者のストレス軽減や問題行動を減少さ
せる効果が確認されており、世界一の癒しロボットとしてギ
ネス世界記録に認定されています。アメリカでは患者へのセ
ラピー効果が認められてFDA(アメリカ食品医療薬品局)
で医療機器として承認され、また、ドイツの一部の州では健
康保険の適用対象になっています。

「介護ロボット元年へ!」
本格的な介護ロボットの研究は、30年以上にわたり行われて
いますが、未だ実用化にいたっていません。
電機連合では2009年から介護ロボットの実用化に向けた政策・
制度を政府に要請してきましたが、昨年、ようやく政府が実
用化に向けて本格的に動き出しました。
2012年11月には経産省と厚労省が連携し『ロボット技術の介
護における重点分野』を策定しました。移乗介助、歩行支援、
排泄支援、見守りの4分野を対象に、ロボット介護機器の開
発・実用化を目指すとしています。
2013年6月に閣議決定の『日本再興戦略』には「ロボット介
護機器開発5カ年計画の実施等」が盛り込まれ、安全基準及
びその認証制度、採択事業者への補助金交付等、5年後の導
入に向けた取り組みが進められています。
経産省では、今後、福祉・介護分野のロボットが急成長し、
2035年の市場規模は約4000億円になると予測しています。
日本が誇るロボット技術によって高齢社会を支え、要介護者
の自立、家族や医療・介護従事者の負担軽減と安心・安全・
健康を確保します。

「日本のICT技術を活かして実用化を目指す!」
介護ロボットには、居宅に入り込み、人と接触するタイプや
身体に装着するタイプがあり、高水準の安全性と信頼性が要
求されます。安全性を確保するには、ロボットの自律能力を
高めることが必要です。自律能力は、ロボットの頭脳となる
ソフトウェアによって実現されます。具体的には、センサー
で感知した情報に基づき頭脳が考えて機械装置に動作を指示
するため、安全性向上にはソフトウェアの能力を高めること
が必要です。
介護ロボット産業の国際競争力を高めるにあたり、自律能力
をつかさどるソフトウェアの重要性が増しています。サービ
スロボットにおけるソフトウェアの国際標準化規格の獲得に
向けて、グーグルやマイクロソフトが本格参入しており、日
本が介護ロボットで世界に勝つには、電機産業の持つICT
技術を活かせる体制が必要です。
介護ロボットの研究・開発には、人の尊厳の問題も絡むため
開発は複雑化しています。また、要素技術の組み合わせで作
られていることもあり、民間の力だけでなく、多方面の人材
で水平分業の形態を取らないと実用化は簡単には進まないた
め、オールジャパン体制の確立に向けた政府の積極的な関与
を求めます。

「他国に先駆けて機械化介護ビジネスを確立する!」
韓国では2008年に「ロボット基本法」が施行され、ロボット
倫理憲章、認証機関、損害保険制度、海外進出支援など国家
が後押ししています。高齢社会先進国である日本においても、
技術で勝ちながらも事業で負けることのないように、国家戦
略で国際標準を勝ち取りつつ、政府がリードするオールジャ
パン体制で他国に先駆けた機械化介護ビジネスモデルをいち
早く構築し、高齢化が進む国々へ向けて介護ロボットの輸出
を目指します。

写真

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