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活動紹介

2015年07月05日

『電機連合@見える化通信』Vol.53「国民生活や産業への影響を考慮した温室効果ガス削減目標を」

『電機連合@見える化通信』Vol.53
「国民生活や産業への影響を考慮した温室効果ガス削減目標を」

電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」の取り組みが
あることを知っていますか?

産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展させるため、社会政策は暮らしや生
活をより良くするための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、その中には、個別企業労使の話し合い
だけでは対応しきれないものも多数存在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに関係する課題について政策・提言をま
とめ、政府や省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて見えづらい政策
課題について、その中身を少しずつご紹介していきます。

●●電機連合の産業政策●●

※COP21 で合意予定の2020年以降の温室効果ガス排出削減の新たな枠
 組みの削減目標については、目標数値ありきではなく、国民生活や産業
 に与える影響を十分考慮した上で、国際的に責任を果たし得る目標値を
 提示する。

※再生可能エネルギーの普及状況や電力システム改革の進捗等、将来の日
 本のエネルギー構成については、不明瞭な部分があることから、米国の
 ように幅を持たせた目標設定も検討する。

今、世界では、温室効果ガスの排出量削減に向けて、京都議定書に継ぐ2020
年以降の新たな枠組みの議論が進んでいます。

各国は、12月に開催予定の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP
21、パリ)で自主的な削減目標について合意することが予定されており、日
本政府は、この6月に、2030年までに温室効果ガスの排出量を13年比で26%
削減する目標案をとりまとめました。

【地球温暖化問題に対する国際的取組】
太陽から地球に降り注ぐ光は、大気を素通りして地表を暖め、地表から放射
される熱(赤外線)は、二酸化炭素(CO2)やメタン等のいわゆる温室
効果ガスが吸収し、大気を暖めています。
温室効果ガスのおかげで、地表は生き物が生活できる温度に保たれてきまし
たが、産業革命以降、工業中心の産業活動が活発になり、温室効果ガスが大
量に排出されるようになっています。
他方、CO2の吸収源である木々が大量に伐採され、森林面積は減少するこ
とにより、近年では、大気中の温室効果ガスの濃度が急激に上昇し、地球の
温暖化を引き起こすようになってきました。
1980年代には、地球環境に関する国際的な取り組みの必要性が各国間で認識
されるようになり、92年の地球サミット(リオデジャネイロ)において日本
を含む155ヵ国が、地球上の温室効果ガス濃度の安定を目的とした「気候変
動枠組条約」に署名しました。
条約締約国は温暖化防止のための政策立案や途上国への資金・技術協力等に
ついて論議するため、毎年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)を
開催しています。97年に開催されたCOP3(京都)では、各国の具体的な
温室効果ガス排出削減行動を記した「京都議定書」を採択しました。
京都議定書は2005年に発効し、日本は1990年比6%削減の目標を2012年に達
成しましたが、続く第2約束期間(2013〜20年)は東日本大震災後のエ
ネルギー需給体制の問題から、不参加となりました。
現在は、京都議定書に参加しなかったアメリカ、中国も交えた全ての主要国
が参加する枠組みとしていく作業が進んでいます。

【目標達成には高いハードル】
日本政府の「13年比26%削減」の目標案は、「エネルギーミックスと整合的
なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付
けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標」(傍点は
作成者)とされていますが、目標達成には高いハードルがあります。
そのカギを握るのは、原発の運転継続と再生可能エネルギーの普及、省エネ
の徹底です。
政府のエネルギー・ミックス案では、30年度の全電力量に占める原子力の割
合を20〜22%としていますが、他方で、東京電力福島第1 原発の事故を受けて、
原発稼働の原則は40年までとしており、原則通りとすれば、原子力比率は15%
程度に止まることになります。再生可能エネルギーの割合は22〜24%として
いますが、その普及に向けてもコストや送電系統など課題が多くあります。
また、省エネも家庭や企業に重い負担を強いることになります。

【国民生活や産業への影響を考慮した目標値を】
電機連合では、目標数値ありきではなく、国民生活や産業に与える影響を十
分考慮した上で、国際的に責任を果たし得る目標値を提示するよう求めてい
ます。また、再生可能エネルギーの普及状況や電力システム改革の進捗等、
将来の日本のエネルギー構成については、不明瞭な部分があることから、米
国のように幅を持たせた目標設定も検討するよう求めています。

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