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活動紹介

2016年07月07日

『電機連合@見える化通信』Vol.65 「教育は未来への投資給付型奨学金制度の創設を!」

『電機連合@見える化通信』Vol.65
「教育は未来への投資 
 給付型奨学金制度の創設を!」

電機連合の活動の中に
「産業政策・社会政策」の取り組みが
あることを知っていますか?

産業政策は電機産業や日本をより豊かに
発展させるため、社会政策は暮らしや生
活をより良くするための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、
その中には、個別企業労使の話し合い
だけでは対応しきれないものも多数存
在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに
関係する課題について政策・提言をま
とめ、政府や省庁などと意見交換を行
い、政策実現を目指しています。

『電機連合@見える化通信』では、
何となく小難しくて見えづらい政策
課題について、その中身を少しずつ
ご紹介していきます。

さて、家計収入が減少する一方で、
大学の学費が上昇し続け、今や大学生
の2人に1人が何らかの奨学金制度を
利用しています。
大学を卒業し社会に出ても安定した職
に就けず返済に苦しみ、結婚、出産、
子育てなど人生の選択肢にも影響を及
ぼしているケースも少なくありません。

今回の見える化では奨学金制度の問題
を考えます。

私たちの働き方はどうなっていくので
しょうか。

○奨学金とは名ばかりの“学生ローン”!?
国が行う奨学金制度は貸与型のみで、
無利子の第一種奨学金と、有利子の第
二種奨学金(年利上限3%)があります。
事業は日本育英会などが合併して2004年
に設立された独立行政法人日本学生支援
機構が運営しています。同機構によると
2015年度は、無利子奨学金が約47万人、
有利子奨学金が約88万人で計約135万人
が利用、その数は年々増加し、無利子枠
が限られている中、とりわけ有利子奨学
金の利用者が急増しています。

連合が2015年10月に行った調査によると、
奨学金を利用している大学生・院生の借
入総額は平均301.8万円。返済に苦しむ
若者も多く、延滞者は33万人に及びます。
返済が滞ると年利5%の延滞金が発生。
さらに延滞が3ヵ月続くと個人信用情報
機関に登録されクレジットカードなどが
利用できなくなる可能性があり、9ヵ月
が過ぎると裁判所に支払督促申立ての法
的措置がとられます。

公的な奨学金にそぐわないこうした事態
に、これでは奨学金とは名ばかりの“学
生ローン”ではないかとも指摘されてい
ます。

○教育への公的支援が極めて低い日本 
奨学金の利用者が増えている理由の一つ
が大学授業料の高騰です。

国立大学の授業料は、1975年には3.6万円
でした。その後、受益者負担論に基づく
教育政策によって公費支出が抑えられた
結果、授業料は上昇し続けて、2015年度
はその15倍に上る約54万円、さらに政府
は大学の運営費交付金を削減し、2031年
度には約93万円にすることを検討しています。

日本は教育に対する公的支出が極めて少
ない国です。OECDの調査によると日
本の高等教育における公的支援は加盟国
34ヵ国中、最下位レベル。フランスやド
イツなど半数近くの加盟国が大学の授業
料を無償、32ヵ国で返済の必要がない給
付型奨学金を導入済という中で、授業料
が有償で、給付型奨学金がないのは日本
だけ。

資源に恵まれない日本だからこそ人への
投資を充実させるべきなのに、世界の潮
流に逆行した驚くべき実態です。

○301万3851筆の署名を携えて
こうした状況を改善するため、勤労者福
祉活動を行う労働者福祉中央協議会(中央
労福協)は「給付型奨学金制度の導入・拡充
と教育費負担の軽減を求める署名」活動を
昨年10月から展開。

電機連合もその趣旨に賛同して署名活動へ
の協力を加盟組織にお願いしてきました。
わずか半年で全国から集まった署名は301万
3851筆に上り、3月22日には安倍首相宛に
要請書を提出しました。

安倍首相は当初「給付型の奨学金を導入す
るには、さらに検討が必要」と慎重な姿勢
でしたが、301万筆を超える署名は大きなう
ねりとなって政治を動かし、6月2日に閣
議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で
は「創設に向けて検討」と明記され一歩前
進しました。

今後はその実現に向けて、財源の確保など
引き続き注視する必要があります。

奨学金問題は一部の若者の問題ではなく、
社会全体の問題です。
子どもの6人に1人が貧困といわれる今、
親の経済状況にかかわらず、誰もが公平に
高等教育が受けられる環境を整備すること
は喫緊の課題です。

教育は未来への投資。
この国の持続可能性が問われています。

(参考)中央労福協HP
   http://www.rofuku.net/

【電機産業で働く私たちの代表 矢田わか子】
 http://yatawaka.com/
【千葉県で暮らす私たちの代表 小西 洋之】
 http://konishi-hiroyuki.jp/

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