活動紹介

2017年07月06日

『電機連合@見える化通信』Vol.77

「こども保険」構想から考える給付と負担のあり方

『電機連合@見える化通信』Vol.77
「こども保険」構想から考える給付と負担のあり方

電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?

産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展さ
せるため、社会政策は暮らしや生活をより良く
するための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、その中に
は、個別企業労使の話し合いだけでは対応しき
れないものも多数存在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに関係する
課題について政策・提言をまとめ、政府や省庁
などと意見交換を行い、政策実現を目指してい
ます。

『電機連合@見える化通信』では、何となく小
難しくて見えづらい政策課題について、その中
身を少しずつご紹介していきます。

「こども保険」構想から考える給付と負担のあり方

6月に政府が閣議決定したいわゆる骨太方針*に
「幼児教育や保育の早期無償化」が盛り込まれ、
財源については「年内に結論を得る」としています。
その財源として注目を集めているのが、自民党の
若手議員が中心となって提唱する「こども保険」
です。

〇「こども保険」とは
 「こども保険」は今年3月に自民党内の小委員会*
 で提唱されました。
 新たな社会保険「こども保険」をつくって働く
 人や企業から保険料を徴収し、 それを財源と
 して未就学児を対象に給付金を支給しようとす
 るものです。段階的に額を増やし、現行5千円
 から1万5千円の児童手当との合算で、将来的
 には幼児教育・保育の実質無償化を実現すると
 しています。「こども保険」はまだ構想の段階で
 すが、社会保障が高齢者に偏る中で、子育て支
 援への財源確保に向けた議論の契機となったこ
 とは評価できる一方、その財源を社会保険に求
 めることは問題です。
 
〇社会保険ではなく税財源で
 年金、医療など社会保障制度の負担方法には社
 会保険と税の2つがあります。社会保険は本来
 リスクに備えて拠出するものであり、給付と負
 担の関係が見えやすい。例えば医療保険では病
 気になった時、年金保険であれば高齢となり受
 給資格を得た時や障がいを負った時などに給付
 が受けられます。
 他方、税は社会全体で広く負担し、その財源で
 一定の要件を満たせば給付が受けられます。
 例えば生活保護や児童福祉などがあり、給付と
 負担の関係は直接結びつきません。
 上記を踏まえると、「こども保険」は子育てが保
 険原理におけるリスクとは言えず、また独身者
 や子育てが終わった世帯等にとって負担しても
 受益がなく給付と負担の関係が存在しないなど
 の問題が挙げられます。さらには負担が現役世
 代に偏っていることも課題です。
 こうしたことから子育てを社会全体で支えるた
 めの財源としては、社会保険ではなく税が望ま
 しいと考えます。しかしながら消費税は10%へ
 の引き上げが2度にわたり延期されるなど、増
 税へのハードルが極めて高いのが実情です。

〇受益が乏しいまま増え続ける社会保険料 
 その一方で私たちが払う社会保険料率は今や給
 与の15%に達し、この10年間で2割以上増加、
 今後も増え続ける見通しです。
 対国民所得比で所得税や消費税などの税と、
 年金や医療保険などの社会保障負担率を比較す
 ると、社会保障負担率が税に比べて突出して増
 大していることが分かります。
 保険料の増加要因は言うまでもなく高齢化の進
 行であり、とりわけ健康保険料ではおよそ半分
 を高齢者医療への支援金が占めるなど、給付と
 負担の関係が希薄化し、現役世代にとって受益
 が乏しいまま負担が増えています。

〇持続可能な社会保障に向けて
「子ども保険」を含む子育て支援への財源論議は
 今後本格化していく予定です。「取りやすいと
 ころから取る」のではなく、社会保険と税の役
 割を整理し、持続可能な社会保障制度に向けた
 給付と負担のあり方について、国民を巻き込ん
 だ議論が求められます。

【第48回衆議院議員選挙】
 〇電機連合組織内公認候補「浅野さとし」
  https://www.asanosatoshi.com/#page1

【電機産業で働く私たちの代表】
 ○衆議院議員(茨城第5区)
  大畠 章宏 議員
  http://www.oohata.com/
  
 ○参議院議員(比例区)
  石上 俊雄 議員
  http://ishigamitoshio.com/
  
 ○参議院議員(比例区)
  矢田 わか子 議員
  http://yatawaka.com/

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