活動紹介

2021年05月06日

『電機連合@見える化通信』Vol.115

~75歳以上の医療費窓口負担2割を新設医療保険制度を持続可能なものに~

『電機連合@見える化通信』Vol.115

~75歳以上の医療費窓口負担2割を新設
医療保険制度を持続可能なものに~

電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。

~75歳以上の医療費窓口負担2割を新設
医療保険制度を持続可能なものに~

75歳以上(後期高齢者)で一定以上の所得の
ある人について、医療費の窓口負担が2割に
引き上げられる医療保険関連改正法案が国会
で審議中です。今後も医療費が増加すること
が見込まれる中にあって、医療保険制度の持
続可能性を今後も確保するために、私たちの
暮らしにとって重要な法案となります。

【75歳以上の医療費2割負担を新設】
現在、75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担
割合は原則1割、年収383万円以上の現役
並み所得者(単身者の場合)が3割とされて
いますが、改正案では2割負担を新設すると
しています(図表1)。2割負担の対象は単
身世帯の場合で課税所得28万円以上かつ年収
200万円以上の方、複数世帯(夫婦など)
では年収合計320万円の方とされています。
ただ、窓口負担の割合が1割から2割へ倍増
することになるため、関節症や高血圧などで
長期にわたり頻繁に通院が必要な方からみれ
ば大幅な負担増を避け受診を控えることも考
えられます。そこで、施行後3年間は配慮措
置として、窓口負担の増加額を月あたり3,
000円に収めるものとしています。
なお、現在審議中の法案が可決・成立すれば、
2割負担の導入は2022年10月から202
3年3月までの間に行われる予定です。

【医療費の増加と後期高齢者支援金】
改正案提出の背景にあるのが医療費の増加で
す。窓口負担等を含めた医療費の総額は20
18年度に43・4兆円となり、2000年か
ら約13・3兆円の増加となりました。医療の
高度化により費用が高くなっていることや、
高齢化の進展が医療費の増加につながってい
ます。2022年度以降は団塊の世代が75歳
を迎え始めるため医療費はさらに増加し、2
025年度には57・8兆円になるとの試算も
あります。
現役世代は勤務先の健康保険(健保組合や協
会けんぽなど)に加入し、給与天引きなどの
形で保険料を納めています。納められた保険
料から前期高齢者財政調整制度(国民健康保
険の65~74歳の医療費負担を健保組合や協会
けんぽなどが一部支援する制度)や後期高齢
者医療制度へ拠出が行われているのですが、
特に後期高齢者医療制度については財源のう
ち4割が現役世代からの支援金です。
少子高齢化の影響で高齢者人口はこれから増
加する一方、現役世代は人口減が続くため、
医療費の増加と合わせ現役世代の負担が増え
続けてしまうことになります。厚生労働省の
予測によると、現行制度のままでは、後期高
齢者医療制度への支援金が2021年の6・
8兆円から2025年度には8・1兆円にな
るとされています。1人あたりで換算すると、
2020年度は約6万3千円、2025年は
約8万円と5年間で1・7万円の増加になる
ことから、現役世代の負担の伸びを抑えるこ
とは急務です(図表2)。

【負担能力に応じた負担のあり方への転換】
法案が成立すれば、2025年度には現役世
代の負担の伸びは総額で約830億円、1人
あたり約800円程度抑えられる見込みです。
少子高齢化が進む中、今後も医療保険制度を
持続可能なものとするためにも、負担能力に
応じた負担へ制度の転換を進めることが重要
です。
一方、窓口負担が2割になることで受診を控
える高齢者が出てくることが考えられます。
受診控えが健康悪化を招き、より高い医療費
負担につながるようでは本末転倒です。今後
は受診控えなどによる影響を検証し、高齢者
の所得基準の妥当性について、公平性の観点
から引き続き検証していくことが求められま
す。


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