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活動紹介

2015年05月13日

『電機連合@見える化通信』Vol.51「税制の面から研究開発を支援しよう」

『電機連合@見える化通信』Vol.51
「税制の面から研究開発を支援しよう」
 
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」の取り組みがあることを知っ
ていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展させるため、社会政策は暮らし
や生活をより良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中には、個別企業労使の話し合い
だけでは対応しきれないものも多数存在します。電機連合は働く者の立場か
ら、自らに関係する課題について政策・提言をまとめ、政府や省庁などと意
見交換を行い、政策実現を目指しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて見えづらい政策課題
について、その中身を少しずつご紹介していきます。
電機産業を含むものづくり産業は、国内における産業の付加価値と雇用の創
出に多大な寄与をしています。
ものづくり産業の発展や国際競争力を維持・強化する観点から研究開発は極
めて重要で、その促進が求められます。

 ●● 電機連合の産業政策 ●●

※研究開発税制については将来の産業 の収益性向上の実現のため、長期的
 視野に立って制度の検討にあたる。
※税額控除限度額の引き上げと制度の恒久化。
※税額控除限度額の繰越期間延長。など

【研究開発への投資は税金が控除される】
企業は将来の収益獲得のために長期的視野に立って研究開発投資を行ってお
り、こうした活動を促進するための制度は重要です。日本では新しい製品・
サービスを作り出すための研究開発費用である会計上の「試験研究費」の総
額を法人税から控除できる研究開発税制を採用しています。
こうした制度は諸外国でも実施されていますが、諸外国では恒久措置であっ
たり、控除額に上限がない国が多いのに対し、日本は期限のある特別措置で
あったり、控除額に上限が定められているのが特徴です。

【研究開発税制の種類】
控除の対象となる試験研究費は大きく「一般研究開発費」と「特別試験研究
費」の二つに分類できます。
両者は試験研究に要する費用を対象としていることでは共通していますが、
試験研究の内容に違いがあります。
「一般研究開発費」は、「総額型」と呼ばれ、企業の製品の製造または技術
の改良や発明等にかかった試験研究費の総額に控除率(8〜10%)を掛けて
控除額が算出されます。
中小企業については、控除率が12%となる措置(中小企業技術基盤強化税制)
が採られています。
「総額型」の控除額の上限はこれまで法人税額の30%相当額とされていまし
たが、2015年4月からこの上限が25%になりました。
また、これまではその事業年度において控除額が上限を超過した場合に超過
部分を翌年度に繰越できましたが、同時にこの制度は廃止となっています。
「特別試験研究費」は「オープンイノベーション型」と呼ばれ、特別研究機
関、大学、その他と共同で行う試験研究や特別研究機関、大学、中小企業者
などへ委託して行う試験研究に要する費用や中小企業者に支払う知的財産権
の使用料が対象となっています。
控除率は、特別研究機関、大学などと行った研究に関する費用に対しては20%、
民間企業などその他の機関と行った研究に関する費用に対しては30%がそれぞ
れ設定されています。
控除の上限は法人税額の5%で、上記「総額型」で設定された上限の25%に上
乗せができます。
今回の税制改正では「総額型」の控除の上限が25%と引き下がりましたが、
控除限度の総枠でみるとこれまでの「法人税額の30%控除」を維持してい
ます。
研究開発税制にはこの他にも試験研究費を増加させた場合の措置(上乗せ措
置の「増加型」)や試験研究費の売上高に占める割合が10%を超えた場合の
措置(上乗せ措置の「高水準型」)などがありますが、いずれも2016年度ま
での時限措置となっています。
研究開発税制の適用額をみると、2012年度は3,395億円、2013年では3,952億円、
そして2014年は6,240億円が利用されており、制度を利用して企業が積極的に
研究開発を行ったことが分かります。
国税(法人税)以外にも道府県民税や市町村民税といった地方税について、
中小企業者等が試験研究を行う場合は、課税標準額を上記の試験研究費にかか
る税額控除後の額とすることが認められています。
このように特に中小企業へは、国税・地方税の面で措置があり、国として研
究開発を後押ししています。

【電機連合の考え方】
研究開発の促進は、国内の研究開発拠点を維持・拡大するためにも重要です。
そうすることで企業の収益拡大だけでなく、国内雇用の維持・創出にもつな
がります。
そのため、研究開発税制は長期的視野に立って制度の検討にあたる必要があ
ります。

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